ぼくと世界とキミ

    *

「ルーク!!」

ノヴァとフィロが俺の名を呼びながら、蒼い顔をして走ってくる。

「勇者は定められた運命の通りに女神を殺す。そして……」

そこまで言って言葉を詰まらせると、そっと空を見上げた。

空からは止む事のない涙の様に雨が降り注ぐ。

「勇者の心は……永遠に囚われたまま」

……私には分かる。

……あの二人の結末が。


勇者の《犠牲》により世界は救われる。





「残酷な……世界だな」

世界の流す涙の様な悲しい雨に打たれたまま、二度と会う事の無い勇者に思いを馳せ……そっと瞳を閉じた。
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