ぼくと世界とキミ

「どうして……お前を守れない。何で俺は一番大切な人を守れないんだ!!」

そう叫んだ俺の声は、情けなく震えていた。

「運命は変えられない。私を創り出した《父》。絶対的な力を持つ存在。でも彼でさえ運命から逃れることはできない。より大きな力に操られ、決められた通りの運命を辿る。運命から逃れられる者はいない」

「運命って何なんだよ!!」

「……変えられぬ道。もしも私が運命に逆らい世界を創らないと決めても、いつか必ず私は世界を創り出してしまう」

セリアは悲しそうに瞳を揺らし、語り続ける。

「光も音も無い闇の世界で、永遠ともいえる時を一人で過ごす事にきっと耐えられない。貴方に会える未来が見えているのに、私は運命に逆らう為にたった一人で闇を漂い続けなくてはいけない。孤独に耐えられずに私はいつか必ず世界を創る。決められた……運命の通りに」

そう言ってセリアが小さく息を吐いた。

「こうなる事が分かっていても、私は世界を創らずにはいられなかった。愛しい貴方に出会う為。もしかしたら儚い夢の様な時間を貴方と過ごす為に、私はこの世界を創り出たのかもしれない……っ」

セリアが苦しそうに呻き、何かを抑える様に胸を強く押さえる。

セリアの中で……マナが暴れているんだ。
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