ぼくと世界とキミ

「でも私はこの世界を愛している。吹き抜ける風も、流れる川も、美しい花も、この世界に生きる全てが私は愛しい。自分の手で消してしまいたくないの!お願いロイ……っ!」

セリアの顔が苦痛に歪み、ゼイゼイと呼吸を荒くする。

「……くっ……もうマナを押えておけない!早く……ロイ!!私を殺して!!」

彼女の声が俺の名を呼び、彼女の強い瞳が真っ直ぐに俺を見つめた。

「……出来ない………出来ないるわけねェだろ!!俺の手でお前を殺すなんて!!」

彼女の強い視線から逃れる様に、ギュッと目を瞑り首を横に振った。

……セリアを殺さなくては世界が終わる。

(……分かってる)

……みんな消えて無くなる。

(そんなのは分かってるんだ!!)

セリアの愛した世界が……でも……でも……俺は!!


「ロイ!お願い!時間が無い!!」

そう叫んだセリアの体から……黒い光が溢れ始める。

……あれが負の力。

……命を……世界を消しさる力。

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