ぼくと世界とキミ

腕で涙を拭うと、真っ直ぐに剣を構える。

……愛しい彼女に向けて。

そっと瞳を閉じると、今までの出来事が鮮明に蘇った。


初めて出会った時の眩しい笑顔。

時折見せた、寂しげな横顔。

流れた涙。

抱きしめた温もり。


彼女との全ての出来事が鮮明に蘇る。


彼女と見た海。

共に感じた風。

約束の場所。

彼女の愛した世界。


……守らなければ。



ゆっくりと瞳を開き、真っ直ぐにセリアを見つめる。

セリアは俺の気持ちが分かるかの様に、小さく頷き……そして笑った。

その瞬間走り出した。

……愛しい彼女に向って。
< 335 / 347 >

この作品をシェア

pagetop