ぼくと世界とキミ
第七話 フリーディア
「……ここがフリーディアか」
そう呟き城下町の入り口である、立派な門を見上げた。
石を積み上げた高い壁に囲まれた大きな街……フリーディア。
青年と出会った村から歩き続けて丸二日。
ここに来るまでに幾度となく魔物に襲われ、すでに一歩も歩きたくない程にクタクタのボロボロだった。
しかし横目で青年を様子を窺うと、青年は格好こそ草臥れているが少しも疲れた様子はない。
……化け物か。
「でも……どうやって中に入るんだ?」
そう問い掛け門を見つめ肩を竦めて見せる。
大きな灰色の門の前には、いかつい門番らしき男達が立っていた。
どいつもこいつも魔物を素手で殴り殺せそうな屈強な男達だ。
その男達の前に他の村から物を売りに来た人達が少し緊張した様に顔を強張らせて並んでいる。
……たぶん門番の顔があまりも恐ろし過ぎて怯えているのだろう。
村人たちは震える手で何か小さな青い紙を門番に向かって差し出していた。
グレノアがセレリアを襲ってから……どうやら警備を強化しているらしい。
門を通るにはパス……いわゆる《通行許可証》が必要の様だ。