ぼくと世界とキミ
心躍る城下町を足早に抜け、二人で城門の前までやって来た。
そこにはドンと重々しい存在感を放った赤い門が見える。
流石は城門というのか……さっきの門よりも遥に警備は厳重そうだ。
門番は皆、手に殺傷能力の高そうな銃を構えていて、体格は俺はもちろん、城下町の入口の門番達よりも遙かに大きく弾丸も弾き返せそうな程に筋肉質だ。
……かなり鍛えてあるのだろう。
まるで鉄板でも入っているんじゃないかと思うほどに厚い胸板に、丸太の様に太い腕。
あのデカイ手ならリンゴどころか、俺の頭だって簡単にグシャっと潰せるはず。
……とても敵いそうにない。
そして最悪な事に、さっきからあの門番の視線が痛い。
門番達は刺し殺せそうな野獣の様な瞳で俺達を睨んでいる。
……当たり前だ。
この緊迫した時期の城門前に、どこぞの小僧と薄汚れた浮浪者がセットで立っているのだから。
……怪し過ぎる。
それに答える様に少し引き攣った笑みを浮かべると、門番達は更に顔を険しくした。
「な、なぁ?ちょっとヤバいんじゃないか?こっち見てるし、顔怖いし、いかついし……もしも撃たれたりしたら……」
しかし俺の言葉など聞こえないかの様に、青年は門に向って何の躊躇もなく歩いて行く。
「止まれ!!」
案の定、城門に近付く怪し過ぎる男に向かって銃を構える。
「城に何の用だ!!ここはお前の来る様な所では……」
そこまで言って門番は間抜けに口を開いたまま、大きく目を見開いた。
「早く開けろ」
青年が表情一つ変えずにそう呟くと、門番達がざわざわと慌てた様子で動き出す。
「……ご、ご無事だったのですね!すぐに門を……」
そう言うと嬉しそうな顔をした門番が手を上げ、そして赤い大きな門がゆっくりと開かれた。
すると青年はまた俺に向かって小さく手招きをすると、そのまま門番達を引き連れ門の先へと消えて行く。
……こいつ……もしかして……
その瞬間、青年の正体を何となく理解した。
そのまま駆け足で門をくぐると、青年の後を追って行った。