ぼくと世界とキミ

城門を抜け綺麗に整えられた中庭を通り過ぎ、城の中へと入った。

そこにはこの城を守る兵士達と、ここで働いているらしいメイド達……それから燕尾服を来た白髪の男が青年の帰りを待ちわびていたかのように立っていた。

皆は青年の姿を目にした瞬間、ホッと安堵の息を吐く。

「……お帰りなさいませ。ご無事でなによりです」

そう言って執事らしき男が青年に向かって頭を下げた。

「勝手に飛び出して悪かったな」

青年がそう言って静かに目を伏せると、執事の男は首を横に振って優しい笑みを浮かべる。

その瞬間、執事の男とバッチリと目が合った。

「……おや?そちらの方は?」

「彼は俺の大事な客人だ。部屋を頼む」

執事の問いに青年は短く答えると、大勢の使用人を引き連れ、長い廊下の奥へと消えていった。
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