【短】アスカ様。
「セイヤ、なんで怒ってるのォ
セイヤの門番、殺しちゃったのは悪いけどさぁ…
可愛いアスカちゃんが、侮辱されたんだよ」

──耳を疑った。

「………殺した…だと?」

王子は唖然としたまま、ゆっくりと座布団から立ち上がる。

アスカ様も慌てて立ち上がると、王子の腕を掴み、必死に弁解を始めた。

「ごめぇん
でも、ゥチも傷ついたんだよ
まぁぢ、泣きたかったしぃ」

……ブッチン。

王子の中の何かが、鈍い音を立てて……切れた。

瞬間、女とは思えないイカツイ腕を、乱暴に振り払う。

「…ふざけんなっ!!」

気付けば頭で考えるよりも先に、大声を張り上げていた。

そして、徐々に理解していく。


ヒロキが………


死んだ………?



…いや、そうじゃない。

「『殺しちゃった』だと…!?ふざけんじゃねぇよ!!オメェは命をなんだと思ってんだよ!!」

ヒロキは………


殺されたんだ。


……こいつに。


─コイツハ、

バケモノダ。
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