遠距離恋愛
隼人と部屋に戻って、ドアを閉めた瞬間。
あたしは隼人に手をつかまれて、ドアに押し付けられた。
「・・・何?」
つかまれた手が痛い。
「何、拓也と仲良くしてんの?せっかく、会えたんだからさ。俺と話そうとか思わないの?」
目も合わせずに、小さい声で言う隼人。
・・・気に、してたの?
・・・それとも、嫉妬?
「ぁの・・・その、ごめん。ふざけてたつもりで。」
「俺、すっげぇ不安だったんだ。由愛から電話とかねぇし、俺たち、おわったんだって思ってた。でも今日、由愛が走ってきてくれて嬉しかった。だから、もう不安にさせるようなことさせんなよ。俺から離れんなよ。」
隼人はすごく小さい声で・・・でも、力強くそう言った。
「・・・ごめん。」
何も答えてくれない。
本気で怒らせちゃったんだ。
「隼人、ごめん。あたし、隼人の気持ち全然考えてなくって。その・・・」
言いかけたところで、隼人はあたしを抱きしめた。
「由愛、俺のこと好き?」
弱弱しく聞く隼人。
「好きだよ、大好きだよ。」
「信じていいんだよな?離れてなんていかねぇよな?」
「うん、離れないよ。ずっと隼人のそばにいる。」
「・・・ごめん。変なこと聞いて。」
隼人は顔を上げてあたしと目を合わせると、静かに唇を重ねた。
触れるだけ。
それだけでも。隼人の温もりを感じられたよ?