遠距離恋愛
「確かに、兄貴かなり落ち込んでた。」
知ってるよ、
隼人のことなら、何でも分かってるつもりだから。
「でも、それだけで電話とかできねぇんじゃねぇんだよ。」
ぇっ・・・??
「兄貴さ、毎日家に女連れてきてヤってんだよ。」
頭が真っ白になる、ってこのことを言うんだ・・・。
たぶん、今のあたし、その状態。
「・・・ヤっ・・て、る??」
「狙ってた推薦も落ちて、お前も近くにいない。誰にもその思いが言えなくって、一人で抱え込んでた。でも、もうそれすらも出来なくなって。兄貴は女に逃げた。」
そんなこと・・・
「ある訳ないじゃん!!!冗談、
「冗談なんかじゃねぇよ!!!」
あたしがしゃべり終える前に拓也の怒鳴り声が重なる。
「冗談なんかじゃねぇよ・・・」
小さく震える・・・拓也の声。
拓也も泣いてるの??
辛いの??
「もう、あんな兄貴見んのイヤなんだよ!!!どうにか、してくれよ!!!」
さっきとは違う・・・静かさ。
「・・・ごめんね。」
あたしは自然と、謝っていた。
「俺も・・わりぃ。何か、当たっちゃって。」
電話越しであたしは首を横に振る。
そして、
「ごめん。一人で考えさせて。」
あたしは一方的に電話を切った。