遠距離恋愛

「確かに俺は兄貴が何考えてんのか分かんねぇよ。でも、・・・」

「でも??」

「でも、由愛は分かってた。兄貴がしたこと全部知りながら、それでも兄貴だけを好きでいるんだ。何で分かんねぇの??」


由愛は・・・分かってた、か。

俺は・・・由愛のことなんて、もう・・・。


「俺は・・・由愛なんてもう知らねぇよ。あんなヤツ、好きなんかじゃねぇ。」


素直になれない・・・。

だって今さら何だって感じだよな??

由愛は俺じゃなくったていいんだよ。

しかも、遠距離が難しいことくらい知ってたし。

もう・・・忘れんだょ。


「じゃぁ、俺が貰うから、」

俺は拓也に背を向けているから拓也の顔は見えない。

でも、その声から真剣だってことだけは伝わった。

「はぁ??」

「もう、いらないんだろ??」

はっきりと、言い切る拓也。

「・・・っ。」

言葉に詰まる。


俺だってバカじゃない。

拓也が由愛のことを好きだってことくらい、とっくに気づいてた。

気づかないフリ・・・してただけ。