ねぇ…好き。
ホントはすぐにでも、優奈を追いかけて謝りたかった。
だけど、胸の奥にまで深く突き刺さった
『バ…イ…バイ』という言葉と
優奈がはじめて見せた涙がオレをそこから動かせなくさせたんだ。
いつも別れ際、なにげなくアイツから言われてる言葉なのに、今日は全然ちがう意味に感じる。
「くそっ!なにやってんだよ」
自分の言いたいことすら、ちゃんと伝えられないクセして、そのうえ優奈を泣かせて……。
オレがアイツから聞きたかった言葉は…『バイバイ』なんて言葉じゃない。
キミから聞きたいのは…たった2文字の短い言葉。
だけど、それは…聞けないかもしれない。
そう思ったのは、いくら待っても次の日、優奈が研究室に姿を現さなかったからだった。