ねぇ…好き。
しょんぼり俯いたまま、自分のマンションまで帰って来きたところで
ふと、立ち止まり自然と会いたくてたまらない人の名前をこぼしていた。
言葉にした途端、どうしようもないくらい
もっともっと会いたくなってくる。
すると、その声が願いとなって
────届いたかのように……。
「なぁ…お前、約束は?」
突然聞こえてきた声に敏感に反応して、あたしはすぐに顔をパッと上げた。
「なんでいるの?」
あたしの部屋のドアの前で立っていたのは、キャップを被っている…ケイで。
「それ。こっちのセリフだろ」
と言って、こっちに向かってゆっくり歩いてくる。
「今までどこに行ってたんだよ?」