ねぇ…好き。
「うっ…っぅ……」
どうしよう…洪水のように溢れ出した涙はすぐに止められなくて
その間、あたしの頭を…ケイが何回も何回も優しく撫でてくれる。
優しくしないでって…言ってるのでしょ。ケイの……バカ。
今日だってケイに
『オレ、約束があるから…一緒に帰れない』
って言われる前に、自分から帰れないってウソをついたのに──・・・
そんなことされたら…涙と一緒に意地っ張りな気持ちが溶けちゃって
ケイへの想いも溢れちゃうよ。
あたしはずっと…ずっとケイのことが
「ねぇ…好き」
「えっ!?今…なんっつった?」
「………ぅ…っ…」
「優奈、顔見せろよ」
「……ぅっ…ヤダ…ぁ」
広い胸の中で顔を埋めて…子供のようにダダをこねるあたしの両頬を
ケイが宝物に触れるみたいに大きな手でゆっくり持ち上げた。