but you
プロローグ
陽平と私はキスもするし、セックスもする。いつからそうなったのか私は覚えていない。
キスをしたのは中学の時だ。セックスも。だけど、いつからそういう関係になったのかが曖昧だ、ということ。少なくとも、セフレではない。

私たちは世間一般的に言う、恋人同士、なのだ。
陽平に確かめたことはないけど、多分、そう。

「亜子、帰ろ」

陽平は時々こうやって放課後に私の教室まで来て一緒に下校する。自分の都合でやって来るから(前もってメールとかしてくればいいのに)、私に用事がある時は断る。友達とだって遊びたいし。
いきなり来るくせに、「帰れる?」という疑問系で聞いてこないのがこいつらしい。

「ん」

机の脇に掛けていた鞄を取って、由紀に手を振る。由紀も答える。
これは変わらない、私の日常だ。
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