but you
初めてキスをしたのは中二の、夏。あんまり自信はないんだけど。

終業式も終わって、私は図書室に寄った。本を借りたのだ。
本がすきだった訳ではない。夏休み恒例の、読書感想文を書くための本を借りに行った。
そしたら図書室のおばちゃんに色々とコキ使われてしまって、小一時間ほど時間を取られてしまった。その代わり、クーラーの効いた図書室は快適だったけれど。

その日は部活もなかったので、教室にある鞄を取って、すぐに帰ろうと思っていた。いつも一緒に帰る友達も帰ってしまってるだろうから近道して帰ろう。

家はクーラーが効いているかなあと思いながら教室のドアを開けた。

『あれ、陽平』

もうこの頃は既に【陽平】と呼んでいたし、一緒に帰ったりもしてたんじゃないかな。覚えていないからなんとも言えないけど。

『何やってんの?』
『部活の集会終わって、忘れ物したから取りに来た』
『これからまた部活?』
『そう』
『頑張って』
『うん』

陽平は基本的に疑問系で話さない。私が質問をやめたら会話は止まる。
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