but you
陽平の部屋はいつも寒い。汗ばんでいた肌も、冷気を浴びると一気に体温を下げてしまう。
「あー亜子」
ベッドで布団に包まりながらゲームをしていた。クーラーの設定は18度にして、布団に包まるのが快適らしい。変な奴。
「相変わらず寒いねこの部屋は」
「俺は丁度いい」
「電気代の無駄!体壊す!」
ベッドを背もたれにして冷えたフローリングに座って、そこら辺にあったバイク雑誌を読む。バイクのことはよくわからないけど、載っているお兄さんが格好よかったりする。陽平はゲームに夢中だ。流行りの、サッカーのやつ。面白さが私には理解できない。
30分もそうしてると、【涼しい】を越して【寒い】になる
「寒い」
テレビ画面を見つめながら指を必死に動かす陽平の横顔を睨みながら訴える。よっぽど楽しいらしく、私の言うことには耳も貸してくれない。
「寒いんですけど」
「うん」
「聞いてますかー?」
「うん」
完全に上の空だ。
私は段々むかついてきて(元々気が長いほうではない)、
「寒いって言ってるでしょ!」