花に託したmessage

 ゲーセンに着いて真っ先に向かったのはリアルな映像を流し、敵を銃で撃ち、薙ぎ倒していくガンシューティングゲームだった。ほぼ毎日に近い状態でゲーセンに通う大地のお気に入りのゲームだ。最初からお目当てはこのゲームだった。UFOキャッチャーがお目当てのときもあるが、大地から誘ってくる場合はいつもこのゲームからだった。
「よし!いくぜ!」
と意気込み、ゲームを大地は始めた。指令を受け、次々と華麗に任務をこなしていく。その姿に私は目を奪われた。
いつもいつも子どもっぽく無邪気に笑う大地。しかし、ゲームをしているときは真剣な大人っぽい表情をする。敵を倒した瞬間にふっとこぼれる笑みはいつもと違う大地で、とってもかっこよく見える。大人っぽい表情を見せるときはゲームだけでなく、とにかく真剣になったときに見せる表情だった。

(あのときもそうだったな……。)


私たちが小さいとき、近所の悪餓鬼たちと喧嘩になったときがあった。理由は近所の悪餓鬼たちが猫をいじめていたからだった。いくら言っても猫を棒でつついたり、叩いたりするいじめをやめない近所の悪餓鬼たちから私は猫をかばった。
「なんだよ!どけよ!」
「いや!ねこはなんにもわるいことしてないもん。そういうことするほうがおかしいんだもん。いけないんだもん。」
「なんだと!みんなやっちゃえ!」
リーダー格の男の子の声を皮切りに近所の悪餓鬼たちが私を棒で叩こうとした。小さい子は時に残酷だ。善悪の判断がつかない、加減ができないときは全力でやってくる。それを本能的にもう駄目だと感じ、目を閉じ、次にくる衝撃を覚悟したときだった。
「かのんをいじめんな!」
そんな声と共に大地と大地と仲が良い近所の子が助けてにきてくれた。きっと鈴子が呼びにいってくれたのだろう。そのときの大地はとても大人びてみえた。
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