呪い・Ⅰ〜襖〜
「襖の内側の人、居ませんか?佳菜です。」
微かな期待。
微かな願い。
「…居るわ。あなたを、待っていたわ。」
よかった。
「襖の内側のあなた、名前はなんと言うのですか?」
「アタシ?アタシの名前は鈴子。」
「鈴子さん…。」
不思議と怖くはなかった。
「なぁに?」
「私の話を聞いてくれますか?」
学校の先生でも
家族でもないあなたに
鈴子さんに
聞いて欲しい
「ぇえ、もちろん。アタシはそのためにいるのですから。」
何が言いたいのかは、分からなかった。
でも、
そんな事はどうでも良かった。
私の話を聞いてくれるのなら
一緒にいてくれるなら
どうでもいい。