呪い・Ⅰ〜襖〜

そっと後ろを振り向く。

でも、誰もいない。

襖があるだけ。

「な…によ、居ないじゃない。」

「居るわ。ちゃんと、あなたの目の前に。ただ、見えないだけ。」

誰もいないはずの襖。

そこから、女の人の声がする。

「どうゆう意味?」

「アタシは、襖の内側の世界に居るの。あなたは、外側の世界。だから見えない。」

ますます訳が分からない。

「この中に、あなたが…?」

「そうよ。けれど、ただ、開けただけじゃ会えない。」

「え…」

それは、どういう意味?

「ねぇ、外側のあなた、名前はなんていうの?」

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