口説いてんの?
猫を床に降ろすと、先に階段を上がって
行ったので、二人もそれに続いた。
「楽しそうなお母さんですね?」
「アホだからほっといて」
凪斗は、面白い、と言って小さく笑った。
薫子が部屋に入って、後ろを振り向くと
彼は立ち尽くしていた。
私の部屋は、隣にあった姉の部屋の壁を
取り壊して繋げているので
まずは、その広さにみんな驚く。
それに、頬が少し緊張している
ようにも見える。
私に緊張されても・・・
それとも男みたいな部屋で
ガッカリしたのかなぁ。
普通、女の子の部屋には可愛い小物とか
ぬいぐるみの一つでもあるんだろうけど
私の部屋は、黒と白とグレーしかないし
ラックには、ゲームと三国志の漫画があって
おまけに麻雀の牌を陳列していた。
「顔に、ビックリ!って書いてあるよ」
「ちょっと・・・」