口説いてんの?
ドアの閉まる音を聞き
凪斗は大きく息を吐いた。
留美は明るくて良い子そうだけど
接し方が分からなかった。
でも、仲良く出来るように頑張ろう。
そして、鏡を見ながら独り言。
「バイト初日、無事に終了しました」
ロッカーを出て厨房に行くと
俊也が片付けをしていた。
「失礼します」
「お疲れさん。どうだった?」
「はい、なんとか」
「まぁ、ボチボチな?」
「はい、ありがとうございました。
おやすみなさい」
凪斗は丁寧にお辞儀をした。
「おぉ、おやすみ」
俊也は、凪斗の背中を見ながら
アイツは童貞だな、と思い鼻先で笑った。