口説いてんの?
凪斗は、不機嫌な顔をして立ち上がり
猫に話しかけた。
「俺さぁ、薫さんが彼女になってくれた
証拠が欲しかったんだぁ。
でも、やっぱ年下だから無理みたいだ。
元気でな・・・」
彼は、猫の頭を撫でて
振り向かずにドアを開けた。
「凪斗、待ってぇ」
薫子が声をかけると、彼は人形みたいな
無機質な目をして振り向いた。
「すいませんでした。
俺が言ったことは忘れてください」
「そんなぁ・・・嘘だったの?
私は凪斗が好きで・・・
でも、まだ言えない事があって・・・」
「薫さん、言ってる事とやってる事が
違いますよ」
今までに聞いた事がない冷たい声に
薫子は血の気が引いた。