口説いてんの?
閉店後、俊也と二人で準備をしていると
凪斗が帰りの挨拶をしにきた。
「お疲れ!凪斗、元気ないぞぉ?
メシ行くかぁ?」
「いえ、今日は帰ります。
ちょっと勉強が大変なんで」
「そうだよなぁ。
そろそろ本気にならないとなぁ。
2浪出来ないだろうし、頑張れよ!」
「はい、失礼します」
彼は、俊也にだけ言ったようだったけど
薫子も、お疲れ様、と返した。
俊也は、凪斗の後姿からの視線を
薫子に移して首を傾げた。
「最近誘っても来ないんだよなぁ。
なんかあったのか、凪斗と?」
「別に、なんで?」
薫子は、作業している手元に意識を
集中させて答えた。