口説いてんの?

「いや・・・気のせいなら良いんだ。

 それよりさぁ・・・」

俊也が声を潜めたので

薫子は手を休め、俊也に目を向けた。

「何か相談事?」

「俺が好きだって言ったら信じるか?

 付き合ってくれるか?」

「それって口説いてんの?」

「アハハ!そうなるのかなぁ。

 もうちょっと驚くかと思ったけど・・・

 薫子、眉一つ動かさなかったな?

 いや、いい、忘れてくれ!」

俊也の最後の言葉が胸に突き刺さり

頭には血が上った。

「何よー!そんな大事なこと言って

 忘れてくれ!で済むと思ってんのー?

 本気じゃないなら

 初めからそんな事言わないでよー!!!」

薫子は、パン生地が入ったバッドを

俊也に投げつけた。

大きな音が響き

パン生地が地面に叩きつけられた。


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