口説いてんの?
三日後、やっと返事がきた。
「明日、バイトの帰りでも」
短い文章の中に、彼の気持ちを示す
物は何もなかったけど
薫子は胸が焼けるように熱くなっていた。
☆ ☆ ☆
凪斗は、年上女恐怖症だった頃の
表情で助手席に座っていた。
「ファミレスでも行きますか?」
「人がたくさん居る所は・・・」
薫子は、あてもなく車を走らせていた。
「なんの話ですか?」
「あまり人に訊かれたくない話で
私にとってはとても大事な話かな」
「じゃあ、薫さんの家は?」
「はっ?」
薫子は、思ってもみない言葉に
思わず急ブレーキを踏んでしまった。
その時、薫子は左手を横に伸ばし
彼の胸を押さえていた。