口説いてんの?


薫さんの悲痛な叫びが

俺には痛かったし愛おしかった。

純粋な所があるのは知っていてけど

まさか処女だとは思っていなかった。

あの時、俺の行動を思い起こすと

とても悲しい気持ちになり

とても恥ずかしくなった。

でも、それだけか、と思われていたのは

心外で、胸が焼けそうだったんだ。

だけど、薫さんの真剣な告白に

俺も涙ぐんでいた。

この嬉しさを言葉で表現する事が出来ず

俺は精一杯抱きしめていた。

二人で抱き合い、ごめんね、ありがとう、と

言って、いつまでも離れなかった。

そして俺は誓った。

薫さんが許してくれるまで待っていると・・・

俺が必ず守ると・・・

二度と離さないと・・・

「俺と付き合って下さい」

薫さんは、女らしい笑顔で頷いてくれた。


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