口説いてんの?

スキーは魅力的だけど

彼が頑張ってる時に

私だけ遊びには行けない。

薫子は、当たり障りのない理由を考え

断ろうと思った。

「今年は暖冬だから雪がないかもよ?」

「それって毎年言ってるよなぁ!

 でも、人工雪もあるから滑れるじゃん!」

「うん、そうだけど・・・」

「なんだよ?あまり乗り気じゃないなぁ?」

「ううん、行きたいよ・・・

 でも、凪斗達が頑張ってるのにさぁ・・・」

薫子は上手く誤魔化せず

思っている事が口を付いて出てしまった。

俊也は顎に手を置き、暫く悩んでいた。

「そうだよなぁ・・・それは一理あるかも。

 じゃあ、アイツ等に訊いてみようぜ?」

「なんて?」

「行くかどうか。

行かないなら二人で行っても良いかって?」

薫子は、ああ、と頼りない返事を返した。


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