口説いてんの?
二人で笑い合い、薫子の部屋へ向った。
薫子は、買ってきた酎ハイを取り出し
凪斗に訊いた。
「飲む?」
「薫さんは?」
「送って行くから飲まないよ。
凪斗だけ飲んで」
薫子は、部屋着に着替える為に
ベッドへ向っていると
テレビの声が聞こえてきた。
「見たい番組があるんだぁ。
それが終わってからでも良い?
また、帰って勉強するんだよね?」
聞こえなかったのか、彼の返事がない。
時間を気にしてるのかなぁ?
「凪斗、聞こえてる?
やっぱいいよ、録画にするから
帰りたくなったら言って!」
「帰りたくないって言ったら?」
彼の声は小さくて薫子には聞こえなかった。