口説いてんの?

「俊也さんは友達だと分かってますけど

 俺は平気じゃないですよ。

 俊也さんとは遅くまで一緒に居るのに

 今は、俺が帰る時間ばかり気にして・・・」

彼は不機嫌そうに眉を寄せた。

「凪斗は勉強があるから

 早く帰った方が良いかなぁと思ったの。

 俊也とは凪斗に悪いと思ったから

 今日も断ったし、あまり行かないように

 しようと思ってる。ごめん。

 でも、俊也も心配してくれてただけで

 それ以上の気持ちはないと思うよ。

 それに、凪斗と居たくても無理だしぃ」

薫子は嫌味っぽい口調になっていた。

「俺、薫さんに、会いたい、って

 言われた事ないですよ?」

「うん、言ったことないよ。

 勉強の邪魔したくないし

 重荷だと思われたくないから」

それは正直な気持ちだった。


< 176 / 225 >

この作品をシェア

pagetop