口説いてんの?
薫子は全身を鏡に映してみた。
背が高くて細いだけで凹凸がないし
留美と比べるとハリもないかなぁ。
ハハ!何やってんだかっ?!
薫子が冷えたビールを持って部屋に戻ると
凪斗は酎ハイを飲んでいた。
「ぬるいでしょ?」
「うん、マズイ」
「アハハ!こっちにしよう」
薫子がビールを持ち上げると
彼が手を押さえて制した。
ん?の表情で見返すと、前髪を触っていた。
「何照れてるの?」
「なんで分かったんですか?」
「照れた時に前髪触るの癖だよね?
何か考えてたでしょ?」
「いいえ~、全然、ただ・・・」
彼は、思わせぶりにゆっくりと答えて
ニヤリ!と笑った。