口説いてんの?

薫子は、声を殺して泣いていた。

彼の素直な気持ちに心を動かされ

身体が熱くなるのを感じた。

「私ね、全然経験がない訳じゃなくて

 男の人が出来なかったの。

 そんな気になれない、って言われた事も

 あるし、元気にならない時もあった。

 胸もないし、中性的な顔立ちだから

 興奮しないんだろうね?

 結局は、女として見れないって事。

 短大の時に付き合ってた人に浮気されて

 その彼女は凄く女っぽい人で・・・

 あぁ、そっかぁ、って諦めがついて

 それからは彼氏つくらなかったんだぁ。

 もう3年くらいになるのかなぁ。

 凪斗が求めてくれた時も

 違う意味でも怖かった。

 もし・・・また、って・・・考えると

 ショックで立ち直れないだろうなと思った」

薫子は、丁寧な笑みをして彼を見つめた。


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