口説いてんの?

いや・・・どうだろう・・・

私も一歩踏み込めないでいたのは

なんでだろう・・・・・

あぁ、思い出した。

社長夫婦が短大の卒業旅行に

連れて行ってくれた時

俊也と薫子は同じ部屋だった。

奥さんは、若い二人が心配だったので

俊也に釘を刺した。

「間違いは起こさないでね?」

俊也は、お腹を抱えて笑っていた。

「薫子が裸で隣に寝てても

 何も起こらないと思うぜっ!」

「失礼なっ?!

 俊也には言われたくないよー!」

薫子は苛立ち、傷付いたけど

社長達の好意と仕事と俊也を失いたくなくて

一生懸命の作り笑いをした。

私はこの時から

俊也を男として見なくなったんだぁ。


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