口説いてんの?
ハート 12

12月25日。

時計の針は、八時を二分過ぎた所だった。

「薫子、もう帰ってもいいぞぉ!」

俊也の声が、フロアに居た薫子の耳に

届いたので、凪斗に視線を投げ掛けた。

瞬間目線が合い、薫子は厨房へ向った。

「なんで?」

「デートなんだろ?

 後は俺一人で出来るから!行け!」

「でも・・・」

薫子は、どんな顔をしていいのか

分からなかった。

「なんだぁその顔は?

 全然幸せそうじゃいないぞぉ?」

「・・・」

「何があっても俺とお前はダチだからな!

 そんな顔してると心配になるだろっ?!」

「俊也・・・」

「笑え!なっ?」

「うん」

薫子は、中途半端な笑顔で頷いた。


< 205 / 225 >

この作品をシェア

pagetop