口説いてんの?
ハート 12
12月25日。
時計の針は、八時を二分過ぎた所だった。
「薫子、もう帰ってもいいぞぉ!」
俊也の声が、フロアに居た薫子の耳に
届いたので、凪斗に視線を投げ掛けた。
瞬間目線が合い、薫子は厨房へ向った。
「なんで?」
「デートなんだろ?
後は俺一人で出来るから!行け!」
「でも・・・」
薫子は、どんな顔をしていいのか
分からなかった。
「なんだぁその顔は?
全然幸せそうじゃいないぞぉ?」
「・・・」
「何があっても俺とお前はダチだからな!
そんな顔してると心配になるだろっ?!」
「俊也・・・」
「笑え!なっ?」
「うん」
薫子は、中途半端な笑顔で頷いた。