口説いてんの?
薫子が前方に視線を動かすと
目の前に薫子の車が見えたので
車に乗り込み凪斗に尋ねた。
「幸せそうに見える?」
「いえ」
彼の不安そうな視線が
何かを感じ取ろうと神経を集中させていた。
言葉も発さず、だた見つめてくる。
私はどうしようと思ってるのだろう?
クリスマスは、凪斗と居たいと思った。
彼の為にプレゼントを選び
今日をとても楽しみにしていた。
その気持ちに変わりはない。
そう、心の中の何かが剥がれ落ちて
迷いは消えたんだ。
俊也のことを考えても仕方がない。
薫子は、優しい眼差しを凪斗に向けて
声を弾ませた。
「楽しいクリスマスにしようね?」
「はい」
薫子はアクセルを強く踏み込んだ。