口説いてんの?

二人でリビングへ入ると

父親が目を向け、ハハ!と笑った。

「どうして?」

「薫子の彼氏を見ようと思ってな。

 母さんが年下の綺麗な子だって

 何度も言うもんだから」

「あぁ、そう」

薫子は母親を軽く睨み、目で訴えた。

「ウフフッ!良いじゃない。

 さぁ、こっち来て食べなさい」

母親はニッコリと笑って彼を見た。

「お父さん、彼は・・・」

薫子が言いかけると

彼が父親に身体を向けて言った。

「宇佐見凪斗です。

 薫さんとお付き合いさせて頂いてます」

彼が深々と頭を下げると

父親は、うん、うん、と頷いた。

「お父さん、うん、じゃなくてさぁ」

「おおそうかぁ。宇佐見君座りなさい」

そう言って、ソファへ促した。


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