口説いてんの?

凪斗は父親の向かい側に座り

握り拳を膝に置いて俯いた。

「真面目そうな青年だな。

 あんな年上で、騒がしいのが良いのか?」

「はい」

「何処が良いんだ?」

「純粋な所です」

「薫子が純粋かぁ。それは面白いなぁ」

父親は声を出して笑った。

「本当です」

「薫子が彼氏を連れてきたのは

 久しぶりなんだ。

 俊也君と付き合ってるとばかり思ってたら

 ただの友達だって言うしな」
 
「はい。僕も可愛がってもらってます」

「いい男だよ、彼は」

「はい」

「君もそうだと願ってるよ」

「はい。大切にしたいと思ってます」

凪斗は背筋を伸ばし、真剣な表情で

父親を見つめて言った。


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