口説いてんの?
食事の仕度が出来たので
母親が凪斗を呼んだ。
「宇佐見君、遠慮しないで食べなさい」
「ありがとうございます」
彼は、父親に軽く頭を下げ
キッチンのテーブルに腰を下ろした。
「何か変なこと言われなかった?」
「はい。いい男であると願ってる、って
言われました」
「うん?」
「男同士の約束です。
美味しそうですね?いただきま~す!」
薫子が父親の顔に目線を動かすと
意味ありげに笑っている。
「何よー?」
「お前の純粋な所が好きらしいぞ!」
「はあ?」
「薫子が純粋?」
凪斗は、薫子と母親の視線を
満面の笑みで受け止めて、大きく頷いた。