口説いてんの?

食事の仕度が出来たので

母親が凪斗を呼んだ。

「宇佐見君、遠慮しないで食べなさい」

「ありがとうございます」

彼は、父親に軽く頭を下げ

キッチンのテーブルに腰を下ろした。

「何か変なこと言われなかった?」

「はい。いい男であると願ってる、って

 言われました」

「うん?」

「男同士の約束です。

 美味しそうですね?いただきま~す!」

薫子が父親の顔に目線を動かすと

意味ありげに笑っている。

「何よー?」

「お前の純粋な所が好きらしいぞ!」

「はあ?」

「薫子が純粋?」

凪斗は、薫子と母親の視線を

満面の笑みで受け止めて、大きく頷いた。


< 211 / 225 >

この作品をシェア

pagetop