口説いてんの?
食事を終ると、母親がケーキとシャンパンを
リビングのテーブルに並べた。
「部屋で食べるから」
「じゃあ、乾杯だけ」
父親がグラスを持ち上げてので
みんなでグラスを合わた。
「やっと開放されるよ、行こう」
「ご馳走様でした」
薫子と凪斗は、リビングを出て
部屋へ向った。
「ごめんね、お父さんまで・・・」
「いいえ、挨拶出来たから良かったです」
「そう。でも、堅苦しく考えないで。
俊也とは一緒に飲んだ事もあるし
息子が居ないから嬉しいんだと思う」
「俊也さんのこと褒めてました。
いい男だ、って」
「あぁ、知ってる。
結婚しないのかって訊かれたから
付き合ってない、って言ったら
残念そうに肩を落としてた」