口説いてんの?

薫子は上体を起こし、彼の胸に頭を乗せた。

鼓動の速さで彼の動揺を感じ

薫子は心が痛んだ。

「揺れてはないけど、悩んだのは事実。

 でも、凪斗への気持ちが

 確信に変わったのも事実だよ。

 だから、もう怖くないよ」

「・・・」

「私の処女を貰って下さい」

「・・・」

彼は何も答えなかった。

ただ、強く抱きしめ

心臓は壊れそうなほどの音をたてていた。

「凪斗・・・苦しい・・・」

「すいません。俺、ずっと不安でした。

 此処に泊まっても、デートをしても

 薫さんの中には俊也さんもいる。

 俺だけじゃないんだって思ってました」

彼の声は震えていた。


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