口説いてんの?
どれだけ恥ずかしかったと思ってんのよ?
丁寧に身体を洗って
新しい下着も着けたのにー。
「凪斗の馬ー鹿」
薫子は、鼻で息を吐いた。
凪斗はタバコを消して
薫子を後ろから抱きすくめた。
「誰が馬鹿ですか?」
「聞こえたんだぁ?」
「はい、しっかりと。
だからそっちを向いてるんですか?」
「私はいつもこっちを向いて寝るの」
「嘘です」
彼が顔を覗き込んだ。
「何怒ってるんですか?
これじゃあキス出来ませんよ」
「怒ってない。キスもしたくない」
彼は、ハハ!と笑って
薫子の身体の向きを変え、覆い被さった。