口説いてんの?
卒業シーズンはバイト達が辞めてしまうので
求人をだすと、3日で10人も面接に来た。
「感じの良い子居たぁ?」
薫子の問い掛けに
俊也は一枚の履歴書を渡してきた。
宇佐見凪斗(ウサミナギト)浪人生・18歳。
顔はアイドル系だけど
真面目そうな眼鏡を掛けていた。
「この子がどうしたの?」
「駅に開店する前は、家でやってたって
話しただろ?その時近所に住んでて
母親と来てたらしい。
予備校がこの近くだからって」
「真面目そうだから良いじゃん」
「そうか、薫子が良いなら合格だな」
「どうしてその子だけ見せたの?」
「いや、なんとなく・・・
てか、あとはみんな女の子だったし
薫子がやり難いかなぁと思ってさ!」
以前、高校生の男の子が薫子の
ロッカーを覗いてたのを
俊也が見つけて揉めた事があった。
それからは、男の子は雇わないから
心配するな、と俊也が言ってくれた。
薫子としては、高校生の男の子がした事に
それほど腹も立たなかったんだけど。