口説いてんの？

薫子が話しかけると

ためらいながら口を開いた。

「宇佐見君、変ですよね？

　年上の女の人苦手って言ってたのに

　あんなに喜んで、馬鹿みたい」

留美の横顔には嫉妬の色が浮かんでいる。

でも、私には凪斗が変だとは思わなかった。

必死でこの場を盛り上げるのと

恵理子さんに気まずい思いをさせないように

無理をしているように見えた。

だけど、凪斗を好きになりかけている

留美には、そうは受け取れない気持ちも

分かっていた。

「宇佐見君、変わりたいから

　頑張ってるんだよ。

　留美も変えてあげるって

　張り切ってたじゃん？」

「そうですけど・・・

　でも、最近お客さんとも話してたり・・・」

「好きになっちゃった？」

「え？」

留美は、弾かれたように身体を揺らし

ゆっくりと薫子へ視線を向けた。