口説いてんの?

「でも、あたしに興味ないみたいです」

留美は、小さく溜息を吐き目を伏せた。

留美が凪斗に仕事を教えているので

二人は仕事の時も一緒にいる事が多い。

でも、私は凪斗の気持ちを知らない。

「買い物の約束はどうなったの?」

「一度誘ったんですけど

 都合が悪くて・・・行きたいんですけど」

「春休みもあと4日だよ。

 もう一度誘ってみれば?」

薫子は、留美の耳元で囁いた。

「言葉にしないと伝わらないよ?」

留美は大きく頷き、凪斗を見ていた。

俊也と凪斗の歌が終わり

一斉に拍手が起こった。

亜紀さんが凪斗を心配して声をかけた。

「宇佐見君、ごめんね。

 恵理子、悪気はないから許してね」

恵理子さんも顔の前で掌を合わせた。


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