口説いてんの?

凪斗は恵理子さんに歩み寄った。

一気飲みしたのと大声で歌ったので

ハイテンションになっている。

「お返しで~す!」

彼は、恵理子さんにキスをして

ソファに倒れ込んだ。

一瞬、何が起きたのか分からなかった。

薫子は、留美が心配になり横を向くと

涙を溜めて凪斗を見つめていた。

「頭の線が飛んじゃったね?」

「宇佐見君、酔ってるから・・・

 たぶん覚えてないですよ」

留美は、自分に言い聞かすように呟いた。

「そうだね・・・覚えてないよ」

その後、恵理子さんがラブソングを

歌いながら凪斗に視線を送ると

留美は目尻を拭い、背筋を伸ばした。

「あたし決めました。

 自信ないですけど告白します」

「留美?」

「恵理子さんには負けませんよ~!」

留美の口元は笑っていたけど

目は鋭く恵理子さんを捕らえていた。


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