口説いてんの?
薫子は、知識だけはあるので
話を合わせながら
早く終わってくれと、と願っていた。
「でも~、あたしが言った事は
凪斗には内緒にして下さいね~?」
「言わねぇよー!」
「良かった。
あたし寄る所があるので帰りま~す!」
留美は、言いたいことだけ言って
満足そうに笑顔で帰って行った。
留美の姿が見えなくなると
俊也がボソっと呟いた。
「凪斗も留美が好きなんだよなぁ?
留美に無理やり誘われて
断れなかっただけだったりして・・・
アイツ真面目だからさぁ」
「それはないよぉ、店でも仲良さそうじゃん。
好きでもない子とそんな事しないよぉ。
それこそ真面目なんだからぁ」
「今度、麻雀しよう。それとなく訊いてみる」
「それでどうするの?」
「別に・・・」
薫子は、俊也が何を考えているのか
分からなかった。