口説いてんの?
「真太郎は優しいねぇ?ズル」
薫子が鼻をすすると、俊也が頭を叩いた。
「嘘泣きすんなっ!」
「アハ!ばれたかぁ」
薫子が帽子を被り直して上を向くと
凪斗が心配そうに見ていた。
「嘘、嘘、冗談だって~」
「すいません・・・俺・・・」
「今度は、凪斗が泣きそうだよー!
薫子のせいだからなー!」
「ごめん」
「でもさぁ、薫さんってスッピンで
帽子被ってるとカッコイイよ!
逆ナンとかされそう、なぁ凪斗?」
「真太郎よりモテたりして?」
薫子が舌を出すと凪斗が笑っていた。
「宇佐見君が笑った。
ごめんね、私こんなだから・・・」
「本当、俺らよりモテそうです」
凪斗は恥ずかしそうに視線を合わせ
口元を緩ませた。