口説いてんの?

俊也が、牌を片付けながら言った。

「恵理子さんには俺から言っとく。

 でも、留美は違うよな?」

凪斗は顔を上げみんなを見渡した。

その目は涙で潤み

不安感が満ち溢れていた。

真太郎が凪斗の表情を見て口を開いた。

「俊也さんと薫さんに相談しろって

 言ったんだけど、二人が凪斗の真面目さを

 褒めてくれるから言えなかったんです。

 留美ちゃんの時も誘われて断れなくて

 コイツ後悔してます。

 彼女を抱いたこと・・・」

「そんなぁ・・・」

薫子は、留美の笑顔を思い浮かべていた。

「凪斗ー!お前ってヤツはー!」

俊也が凪斗の襟首を掴んだ。

「俊也さん、コイツも悩んだんです。

 だから殴るのは辞めて下さい」

真太郎に言われ

俊也は、チッと舌打ちをして手を離した。


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