口説いてんの?

恵理子さんは、真太郎の目に敵意を感じ

たように怯えた声を出した。

「コイツは優しいんです。

 好きじゃなくてもキスするんです。

 メールも返すんです。

 頼まれれば、SEXもするんです。

 でも、優柔不断でもあるんです。

 それがコイツの最大の短所なんです。

 だからいつも後悔するんです」

「真太郎、其処まで言わなくても・・・」

薫子の言葉に、真太郎は首を横に振った。

「中途半端な事を言うと

 恵理子さんは諦められない。

 それに全部本当の事だから」

「恵理子さん大丈夫ですか?」

「う、うん」

「宇佐見君も何か言ってあげて」

「真太郎の言った事は本当です。

 ただ、気まずくなるのが怖かったんです。

 すいませんでした」

凪斗は心から謝り、深く頭を下げた。


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