口説いてんの?
たぶん、凪斗も考えていたのだろう
俊也に上がられてしまった。
「ロン!跳満」
「キッツー!」
「凪斗、考え事してたでしょ?」
凪斗は一瞬顎を引き、俊也に問い掛けた。
「留美ちゃんに告られたって?」
「あぁ・・・」
それは半年ほど前のことだった。
「相談があると言われて
留美が部屋に来たんだ。
大学に進学するかを悩んでて
そうすると店を辞めることになる。
留美は、大学よりもパン屋になりたいらしく
薫子みたいに就職したいと思ってた。
親に言っても許してもらえないので
俺から頼んで欲しいと。
だけど、俺にそんな権利はないと言うと
あたしと付き合ってたら言ってくれる
と詰め寄られたんだ」